黒猫のうたた寝

結局人間は、回り道をして初めて気づく･･･ってことなのかな？
『長い散歩』を観てきました。
奥田瑛二監督のモントリオール世界映画祭でのグランプリ受賞風景が
ＴＶで放送されたのは９月のことで･･･
あーーでも、そういう作品なのに･･･地元公開はないのよね、、、（爆）

安田松太郎･･･妻を亡くし、娘には縁を切られ
愛知県のある小さな町に越してきた。
アパートの隣は、オミズ系の女とヒモが暮らしている。
そして、その女の幼い娘は･･･虐待されている。
教師だったから、その娘のことが気にかかったのではない･･･と思う。
自らの過去への贖罪の念が、彼を動かした。
少しづつ交流しはじめる松太郎と幼い少女
”おーい君、おーい天使、おーい青い空、松太郎”
･･･青い空見に行こう･･･
ある日、二人は、青い空を見に長い散歩に出るのだった。

虐待されつくした少女が、日々とる行動は心が痛くなります。
愛された日々の記憶があるがゆえ、母親を否定しきれず
いつかママが天使のパンツのお遊戯をちゃんと見てくれれば
きっと、昔の優しいママに戻ってくれる。
幼い心は必死に逃避しています。
はずせない天使の羽、お遊戯のときのままのワンピース
お気に入りを隠した･･･秘密の場所･･･
でも、ついに逃げ場はなくなります･･･

ママガ、アタシノ首ヲ絞メタ･･･ママハアタシガ嫌イ
･･･アタシハ、ミンナ嫌イ･･･

否定されつくし、空っぽになった少女の心に届いたのは
”青い空、白い綿飴みたいな雲、真っ白な鳥”
今まで周りにいた大人とは、ちょっと違ったおじーちゃん
何をしても、辛抱強く少女と対峙してくれた大人
少しづつ空っぽな心に暖かなものが満たされはじめます。
同時に、妻を亡くし、自分の生き方を娘に否定され、
からっぽだった松太郎の心も･･･だんだん満たされていきます。
長い散歩は、たとえ世間的には悪いことになってしまうとしても
松太郎と少女には必要な回り道だったんだなぁ。。。

長い散歩の時間は2時間超だったのに、
美しい風景と二人の構図が、結構好みだったことは
ポイント高かったりして（笑）
アパートの２階の踊り場に座って足をぶらつかせている少女
叫び声を上げながら走る少女のバックになる堤防沿いの道
彼女の隠れ家までの小道の延び方と、
絵本の中に出てくるような秘密の隠れ家
二人で歩いている山道の風景
山道の入口の田んぼ道に止まっている車
長く感じなかった理由は
こーいうとこにあるんだなぁ～（笑）
うたた寝指数は０でした。 やっぱり、この子役は凄いっと思いました。
特に心を閉ざしてる前半はねーー
迫力もあるし（笑）
松田翔太くん　やっぱりいいな♪兄ちゃんよりも
好みだなーー
彼の出ているシーンもすごくあったかい。
何も悩んでないようで、実はすごく葛藤してて
でも、ほんっとに弱いものに優しい･･･
最後の登場シーンは衝撃的でした。